銘柄分析シリーズ第1弾、第2弾からかなり経ってしまいましたが、第3弾は【RACE】フェラーリを分析しました。
誰もが知る超高級スポーツカーメーカーであるフェラーリはイタリア企業ですが、ニューヨーク証券取引所に上場していることから、米国株の取引が可能な方は株式を購入することが可能です。
目次
フェラーリ概要
- Ferrari NV(フェラーリ)
- 超高級スポーツカーのみを製造する自動車メーカー
- 1947年設立、2015年上場(ティッカー:RACE)
- イタリアの元レーシングドライバー兼レーシングチームオーナーであったエンツォ・フェラーリによって設立
- 従業員4,097人(2019年6月連結)
- 本社はマラネッロ(イタリア)、但し登記上の本社はアムステルダム(オランダ)
- 会社URLはこちら
- 1969年にフィアット・グループ(現フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の傘下に入ったが、2016年のニューヨーク証券取引所、ミラノ証券取引所上場を機に、同傘下から離脱しました。
売上の75%近くは自動車やパーツの製造販売によるものです。
その他に、スポンサーシップ(F1のレーシングチーム運営やライセンスによる売上)やエンジン販売(マセラッティ向け等に販売)があります。
単一国ではアメリカがダントツで売上1位です。
日本はRest of APACという分類に入っており、ここにはオーストラリア等も含まれています。
世界中にファンを擁するフェラーリですから、売上はかなり分散されています。
業績推移
売上は一桁%で少しずつ安定して伸びています。
一方で純利益はこの4年で2倍以上になっています。
また、EBITDAや純利益もきれいな右肩上がりの上昇曲線を描いています。
EBITDAマージンが年々上昇し、2018年12月期には30%に達しています。
トヨタやGMが15%程度であることを考えると、フェラーリが超高級車で利幅も大きな車を製造販売するビジネスモデルだから達成できるマージン率と言えるでしょう。
キャッシュフローも安定しています。
営業キャッシュフローに対して、投資キャッシュフローはほぼ車関連の開発費です。
M&Aで他社を買収したりすることもなく、本業のみにお金を投下しています。
株価推移
2016年の上場以降、株価は4倍近くになっています(2019年10月22日時点株価終値153.9ドル)。
S&P500がその間に1.5倍、トヨタ自動車はほぼ変わらずなので、株価上昇は圧倒的なパフォーマンスを誇っています。
- 配当利回り:0.65%
- 配当性向:24.81%
- PER :44.7倍
(2019年10月22日時点株価終値153.9ドル)
配当利回りは低いので、インカムゲインよりキャピタルゲインを期待する銘柄と言えます。
フェラーリ株購入検討の為の3つのポイント
①CASEが進んでもフェラーリの未来は明るい!?
Connected:コネクテッド
Autonomous:自動運転
Shared:シェアリング
Electric:電気自動車
この頭文字をとって、CASE、このワードが2017年頃からメディアでもよく登場するようになりました。
これが自動車産業に大きな変革をもたらし、ひいては消費者の車の購買スタイルも大きく変わってしまうのではないかと考えられています。
コネクテッド⇒ 適切に管理、予防メンテされることで、車が長寿命化し、買い替えサイクルが長期化
自動運転⇒ 車を自分で運転しない=購入する車に対するこだわりが減り購買意欲が下がる
シェアリング⇒ 車を買わなくてもよくなる
電気自動車⇒ エンジン車に比べて車の長寿命化による買い替えサイクル長期化
例えば上記のようなことが起きそうです。
さて、フェラーリはどうかというと、個人的にはCASEの影響は他の自動車メーカーより受け辛いと考えています。
フェラーリは、富裕層がコレクション目的や走りの追求目的で購入するものなので、実用的な車とは購買される理由が全く異なっているからです。
車で走るのが好き、高級車が好き、何よりフェラーリが好きという層が減るとは考え辛く、フェラーリはCASEが進んでも盤石な地位にいると思っています。
②どこまで成長するか?
現在のPERは44.7倍(トヨタは11倍)。
ちょっと手を出すには株価が上がりすぎているように感じます。
2016年の上場以降、当期利益は2倍以上になっており素晴らしいのですが、売上は20%程度しか伸びていません。
中国の富裕層向け等、今後も販売面の伸びは期待できそうですが、一方で、同社が大きく販売台数を伸ばすかというと、それはないと思っています。
フェラーリの価値は、希少性にあります。
目の前に需要があるからと言って、販売台数を増やせば、それはブランド価値の低下につながります。
フェラーリのPBRは25倍を超えており、このような高いPBRになるのは、フェラーリのブランド価値によるものであり、ブランド価値を棄損してしまったは本末転倒です。
従い、売上面でいえば、大きな成長は見込めないと思いますので、一旦今の過熱感を感じる株価が冷めてから株式購入を検討したいと思います。
③景気後退局面にご注意
目覚ましいパフォーマンスを残し、株価は上場時から4倍になったフェラーリですが、景気後退局面に注意が必要です。
上場が2016年の為、リーマンショック時の財務諸表等、経営成績に関する情報は見つけられませんでしたが、一つ見つけた記事では、2018年12月のフェラーリの日本の販売台数が60台に落ち込み(例年は200台/月)、販売人員の整理を行う、というものがありました。
超高額の贅沢品であることから、景気後退局面では需要は急低下しやすいと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
個人的には、
フェラーリは将来、自動車産業が大きく変革しても、他の自動車産業の会社よりも盤石な地位を保っていられる可能性が高く投資候補として考えたい銘柄です。
但し、株式購入のタイミングはしっかりと見極める必要があるというのが結論です。
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