米国株銘柄分析シリーズ第1弾【DIS】ウォルト・ディズニー・カンパニー 超巨大エンターテイメント帝国に潜む3つの不安要素とは?

2019年7月の米国証券会社開設、8月にJohnson&JohnsonとDocusignに投資をして米国個別株投資を開始しました。

次なる投資候補の銘柄を探していますが、数多ある米国株の中でも自分が実際に商品やサービスを使用したことがある会社は最も気になるところです。

東京ディズニーリゾートや映画等、でこれまでもに数多くディズニー関連の商品やサービスに触れてきましたが、アメリカ駐在している今は、2018年12月にディズニークルーズ旅行、2019年3月にディズニーワールド旅行をし、さらにディズニーという会社が気になる存在になりました。

ウォルト・ディズニー・ワールドは誰もが知る超巨大企業で、2012年にはスターウォーズを製作するルーカス・フィルムを買収、そして2019年3月には21世紀フォックスの映画製作部門を買収し、世界最大の映画制作会社になりました。

既に超巨大な企業にも関わらず、どん欲に成長を追い求めるディズニーに不安要素はないのか?

ディズニー株の購入タイミングを検討する為にも、ディズニーに関して調べてみました。

目次

ウォルト・ディズニー・カンパニー概要

  • 1923年設立
  • 本社は、カルフォルニア州バーバンク市サウス・ブエナ・ビスタ・ストリート500
  • ニューヨーク証券取引所上場(ティッカー:DIS)
  • メディアネットワーク事業、パークス・リゾート事業、スタジオ・エンターテイメント事業、コンシューマープロフダクト事業を全世界で展開
  • ミッキーマウス、トイストーリー、スターウォーズ等多数のコンテンツを持ち、2019年3月に21世紀フォックスの映画・テレビ部門を買収し、業界最大手の映画スタジオとなる
  • アメリカ(フロリダ州オーランド、カルフォルニア州アナハイム)、東京、パリ、香港、上海でディズニーリゾート事業を展開
  • 日本の東京ディズニーリゾートは、フランチャイズ契約に基づき、株式会社オリエンタルランドが運営
  • エリア別売上高比率(2018年9月期)
  • 事業領域別売上高比率(2018年9月期)
  • 各業界順位

ディズニーは色々と世界一位かと思っていたのですが、そうでもありませんでした。

テーマパークもまさかの2位!1位のコムキャストは、ケーブルTV会社ですが、ユニバーサルスタジオ(フロリダ、ハリウッド、シンガポール、ジャパン)を運営しています。

アニメ企画・製作以外は、全てコムキャストが上位につけており、ディズニーの最大のライバルと言えるでしょう。

業績推移

売上高・当期利益推移

売上高も純利益も毎年順調に伸び続けています。

10年前に既に巨大な企業でしたが、純利益がこの10年で2倍以上伸びてる点は驚きです。

EBITDAマージン推移

EBITDAマージンも10年間順調に伸びています。

EBITDA マージン率の伸びはここ数年止まっていますが、30%前後の高収益を維持しており、文句のつけようがない内容です。

フリーキャッシュフロー推移

映画製作やテーマパークの設備投資など、お金のかかる事業を展開しているので、毎年50億ドル規模もの金額が投資キャッシュフローとして使用されています。

しかし、営業キャッシュフローが投資キャッシュフローの2倍~4倍という金額で毎年入ってくるので、安定してフリーキャッシュフローを創出しています。

これ程の潤沢なキャッシュフローがあるにも関わらず、配当利回りは1.3%程度なのは、ディズニーが自身を成長企業と捉え、配当ではなく企業の成長に資金を回していくという考えの表れと思います。

株価推移

10年株価増減率推移

S&P500を2倍はアウトパフォームする素晴らしい株価の伸びを示しています。

いわとびセンセイ
オリエンタルランドの伸びがさらに凄くて、ビックリ

最近の株価推移

時価総額:234,107百万ドル(2019年9月27日時点)
PER  :18.7倍(2018年9月期純利益ベース)

2016年あたりから2019年3月後半までは90ドル強〜120ドル弱の中で株価は行ったり来たりを繰り返しました。

4月に株価が急伸し、146.39ドルまで到達しましたが、8月からは下落基調で9月27日には取引時間中では130ドル台を下回る値をつける時間帯がありました

3月後半の株価の動きは、恐らく21世紀フォックスの映画製作部門の買収完了による投資家の思惑が絡んでいると思います。

フォックスを713億ドルという巨額買収ということで、発表直後は一時値を下げますが、ディズニーならこの買収を活かし成長できると考えた買いが入ったのではないかと

金額が一桁違いますが、ルーカスフォルムを2012年に40億ドルで買収した際も、一旦買収金額の大きさから値を下げたものの、その後株価は順調に上昇し2015年には2倍になったということがありました。

そして8月からの下落基調は、以下で説明する不安要素が絡んでいると思います。

3つの不安要素とは?

①メディア・ネットワーク事業はハードな競争環境

現在ディズニーの売上で最も多くを占めるメディア・ネットワーク事業(売上比41%、2019年8月期実績)は競争の激しい世界です。

  • Netflix
  • You Tube TV
  • Sling
  • Amazon Prime Video
  • HBO Now
  • Sony Playstation Vue
  • Direct TV
  • Hulu (21世紀フォックスの映画製作部門買収により、ディズニーが60%の大株主)

沢山の会社が競争し合っているうえ、AppleがApple TV+という月額4.99ドル(日本は600円)のサービスを開始することを発表しましたので、さらに競争激化しています。

但し、ディズニーにはこの業界で覇者になる為のすさまじいコンテンツ力があります。

そして、ディズニーも2019年11月からDisney Plusというストリーミングサービスをアメリカで開始することを発表、申し込み受付を開始しました。(既に日本では同様のサービスを開始済)。

ディズニー、ピクサー、マーベル、スターウォーズ、ナショナルジオグラフィックなどが公開してきた数々のコンテンツが見放題のサービスとなる見込みで、自社がその権利を有する為、安価に提供する体制を実現しています。

コウテイくん
子供を持つ家庭の加入率とかすごく高そう

②今期業績への不安

2019年8月に第3四半期決算(以下、3Q)を発表しましたが、あまり良くない状況でした。

21世紀フォックスの買収により売上は前年比伸びていますが、利益は減益、EPS(一株利益)は3Q単独で59%減(調整後EPSでは28%減)、年度累計でも28%減(調整後EPSでは15%減)と残念な内容でした。

株価は決算発表数日前に146.39ドルを付けていましたが、そこからは一本調子で下落を続け、2019年9月27日は取引時間中に一時130ドルを割りました。

業績が良くない理由は3Qの決算報告書で色々説明されていますが、

  • 人件費や製作費の上昇
  • アメリカのディズニーリゾートの入場者数が芳しくなかった
  • ディズニーワールドに5月に開業した新しいエリアStar Wars: Galaxy’s Edgeに関する費用増
  • 21世紀フォックス買収後のリストラ費用を計上

 

等が理由として述べられていました。

私がさらに気になったのは、Huluに関する評価益です。

21世紀フォックスが保有していたHulu株式30%も合わせて買収対象であった為、ディズニーが既に保有してた30%と合わせてディズニーが60%の大株主となり、Huluは連結対象になりました。

この際、過半数をディズニーが保有する=その企業を実質的に支配できることから、支配権獲得により48億ドルもの評価益を2019年第2四半期に計上しました(以下の黄色ハイライト部分)。

これだけの巨額の評価益を計上して尚、昨年度比減益というのは、正直厳しいと感じます。

但し、ディズニーは既に業績改善に向けて動き出しています。

映画製作部門において、マイクロソフトのクラウドサービスAzureを使用して製作プロセスをクラウド化し、製作期間の短縮とコスト削減に取り組むという発表が9月17日にありました。

この件は、米国株投資の先輩であり、短期間でフォロワー5000人に到達(2019年9月27日時点)させた、”もみあげ’さんがブログで取り上げられているので詳しくは、以下のリンクからお進みください。

さらにもう一つ。

Twitterでもみあげさんに上の記事のリンクを当ブログに貼る許可をもらうやり取りをしていたら、もみあげさんがもう一つ大事なニュースをブログで知らせてくれました

スパイダーマンの権利で揉めて、ディズニーはスパイダーマンを使用することができなくなっていましたが、和解に至ったとのこと。

次回のスパーダーマンをディズニー傘下のマーベル・スタジオとソニーが共同で撮影することが発表されました。

マーベルが収益の50%を要求したことで決裂していたのですが、25%で落ち着いたようです。

コウテイくん
スパイダーマンファンにとっても良いニュース

③超巨額の”のれん”

最後の3つ目は、のれんです。

財務諸表のバランスシートを見ると、2019年6月29日時点ののれんは、778億ドル、2018年9月末に比べて466億ドルも増加しています。

内訳はありませんが、21世紀フォックスを713億ドルで買収したことが、この増加のほとんどを占めると思います。

つまり、それだけ高値で買っているということになります。

もちろん、ディズニーの目論見通りに21世紀フォックスを活用して、さらなる成長が実現できれば問題にはならないのですが、もし目論見通りにいかなければ将来、巨額の減損が発生することになります。

21世紀フォックスに関連するビジネスは必ず成功に導かなればならない、と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ディズニーが素晴らしい会社であることは、世界で展開している事業や業績から明らかです。

そして、既に超巨大企業であるにも関わらず、映画製作やメディア事業の覇権を握るべく、M&Aを通じて、成長機会を獲得しようとしています。

長い目でみれば、きっと今の株価も余裕で超えてくる会社だと思いますが、今は不安要素もあり、株価が上がり続けるというよりは、決算内容や各種リリースからの思惑で株価は上がったり下がったりする時期なのかなと個人的には予想しています。

21世紀フォックス映画制作部門の巨額買収後の結果がディズニーの未来を大きく左右することは間違いないです。

小さな積み重ねで、将来を豊かに

これをモットーに米国株投資を進めていきます。

馬之助
お読みいただきましてありがとうございました。

※投資は自己判断で

 

アメリカ在住の方限定になりますが、Chase銀行の銀行口座開設で作れるデビットカードは、ディズニーワールド等での買い物や食事がお得なる特典があります。
以下の記事で、ベネフィットの内容や実際に使用した経験を紹介していますので良ければお読みください。

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