2020年8月マンハッタンからNJ州の某所に引っ越しました(ハドソンリバー近く)。引っ越した理由は、ミッドタウンのワンベッドルームの間取りで3年過ごしてきましたが、その期間で子供が2人誕生し、モノも溢れてきて、めちゃくちゃ手狭だなと感じてきたからです。そして、コロナウイルス禍での外出の減少、在宅勤務で家で家族全員が過ごす時間がとても長くなったので、窮屈すぎる空間ではストレスが大きく、これを機に広い住居で家族全員が余裕を持って過ごせるのが良いだろうと考えてのものでした。マンハッタン内でより広い住居を求めると家賃がバカ高くなるので、NJ州に引っ越すことにしました。
マンハッタンの生活コストが高いことは周知のことと思いますが、NJ州に引っ越すことでどのような点で生活コストが下がることが期待できるのか、検証してみました。
目次
前提条件
NJやNYを比較すると言っても、州内、市内でもエリアによって色んなコストは大きく変わります。
今回の比較では、
NJ:ホーボーケンやジャージーシティのバドソン川近辺のエリア
NY:マンハッタンのミッドタウンエリア
で生活することを想定しています。
家賃
築年数や物件の広さによるので一概に比較はできませんが、同じようなグレードの物件を比較すると
NYの1ベットルームの家賃=NJの2ベッドルームの家賃
床面積は1.5倍程度になるという感じです。
但し、NJ側でもハドソンリバーに窓が面しており、マンハッタンの摩天楼を望める物件で新しい建物だと、非常にお高い物件もあります。
税金
アメリカでは州によって税率が変わるので、住む州によって色々な税負担が変わってきます。
Sales Tax
物を販売することで発生する売上税。日本の消費税にあたります。
NJ 6.725% vs NY市 8.875%
8.875%の内訳は、ニューヨーク市税が4.5%、ニューヨーク州税が4%、メトロポリタン地区追加税が0.375%。
その為、NJの方が税率が約2%低いことになります。
尚、衣料品、靴については、NYは単価が110ドル以上のものは非課税になりますが、NJは金額に関係なく非課税ということで、通常の購入品より税率差はさらにNJがお得になります。
例えば、年間の消費が3万ドルとすれば、税率差2%で支払う税金は600ドル異なることになります。
Income Tax(州)
州の所得税の比較ですが、申告のステータス(独身or結婚してるが個別申告or結婚していてJoint申告)、そして課税所得額によって税率が変わってくるので簡単に比較することは難しいです。そして、以下がNJとNY州の所得税の表でが、一方の州が税率が低い場合もあれば、もう一方の州の方が税率が低い場合もあるので、州のIncome Taxに関しては、ケースバイケースと言えます。
但し、ニューヨーク”市”在住の場合は、さらに市の所得税が発生します(例えば、NY州でもウエストチェスター等、ニューヨーク市外に住んでいたら市の所得税はなし)。
こちらも課税所得次第ですが、一番低くても3%の所得税が発生します。
その為、州の税率はケースバイケースの引き分けとしても、マンハッタン等のニューヨーク市に住んだら、3%超も多く所得税を支払うことになります。
公共料金
まのすけはアパートにしか住んだことがなく、電気のみ自分で契約して支払ってきたので、水道、ガス代は比較していません(これらは家賃に反映されていると想定)
NJのジャージーシティやホーボーケンに電気を供給するのはPublic Service Enterprise Group (PSEG)、マンハッタンに電気を供給するのはConsolidated Edison(ConEdison)で会社が異なっています。実際に引っ越した後、両者の請求書を比較すると、電気料金には大きな差がありました。
電気料金は毎月単価がわずかに変動することに加え、基本チャージなどがある場合もあるので使用量によっても単価が変わりますが、
NJ 0.18ドル/kwh
NY 0.30ドル/kwh
NYはNJの1.67倍でした!これ、馬鹿にできないインパクトがあります。
まのすけの電気代は、2019年の1年間でおおよそ2,000ドルでした。その為、これをNJの料率で換算すると1,200ドルになります。
なんでこれだけの差があるのか、両社の請求書をじっくり見てみました。
NJ(PSEG社)の請求書からの抜粋です。内容はシンプルでした。
690kWhという電気使用量に、一定の料率(使用量によって段階的に変わる)をかけて、電気の発電代、家に届ける送電代をそれぞれ計算し、それを足したものが請求金額でした。
一方、NY(ConEdison)の請求料金は複雑でした。
こちらが、発電量になりますが、使用量に一定の料率をかけたものに加え、2種類の固定サーチャージが賦課されていました。
送電料も同じで、電気使用量に料率をかけた金額に加えて、基本料金が賦課されていました。
さらにです。請求書の合計欄に進むと、System Benefit Chargeというものや、再生可能エネルギー推進の補助金見合いのサーチャージも追加。また、最後にSales Taxも課されていました。
その為、比較がしづらいのですが、この比較では送電コストの違いが一番の要因であることがわかりました。
NJは、39.3ドル/690kWh=0.057ドル/kWh
対して、NYは、154.26ドル(基本料金込み)/996kWh=0.15ドル/kWh
2倍以上の差です。しかもNYは他にもサーチャージやSales Taxがありますので、この差はもっと大きくなります。
まとめ
NJとNYの生活コストの差を比較してみましたが、家賃の差があるのは当然として、それ以外にも結構差があるのが予想以上でした。
年間インパクト
3万ドルの買い物=>Sales Tax600ドルの差
課税所得5万ドル⇒ニューヨーク市税1,910ドル発生
電気使用量6,700kWh⇒電気代800ドルの差
NYの生活コストは高いわけですが、2020年8月にNJに引っ越したことに関して、もっと早く引っ越しておけばよかったとは思ってはいませんでした。マンハッタンにはそれだけの魅力や利便性があります。ミッドタウンやアッパーイーストに合計4年以上住んだので保証します。まのすけの場合は家族の増加で新たな生活スタイルへの変化を迫られていたのと、4年住んでもう十分堪能したというのに加え、コロナ影響でマンハッタンの魅力がどうしても以前のようでは無くなってしまったので、今回は引っ越してよかったとすごく感じています。
また、今回取り上げませんでしたが、私のように小さな子供がいてDaycareやPreschoolに通わせたい場合にも同じ水準の学校で学費はマンハッタンよりかなり下がります。お子さんをお持ちの方ではこの点でも生活コストが変わります。
こんにちは。こちらのブログを先ほど見かけて拝見していました。当方、マンハッタンから数年前にNJに家族3人で引っ越してきました(駐在ではありません)。この光熱費やセールスタックスなどの比較分析が素晴らしいと思いました。私も引っ越した当初、生活費が軽くなったと思いましが、ここまで深い考察はしていませんでした。ただマンハッタン当時は車を所有していなかったのに対し、NJでは車は絶対必要なので、車の購入、保険、ガソリン、場合によっては駐車場代などがかかりますので、それはコスト増要因ですね。ただ、それらを考慮してもNJの生活費のほうが低いと思います。さらに、小さい子供がいる場合のデイケアのコストもマンハッタンとは比較にもならないほどお得です。
もう日本へ本帰国されてしまったと思いますが、こちら大変興味深く読ませていただきました。また来ます。
さちさん、当ブログをお読みいただき、またコメント頂戴しありがとうございます。
数年前にマンハッタンからNJに移られたんですね。私の書いた内容に同意いただけてとてもうれしく思います。
確かに、記事では触れませんでしたが、子供はDaycareは高くて入れてきませんでしたが、Preschoolに通わせたときに、モンテッソーリ教育系のところを選びましたが、マンハッタンの同じタイプのところより月1000ドルは安かったので助かりました。
車は悩ましいですよね。うちは、ジャージーシティのPath Trainなどのアクセスがあるので、悩みながらも買わず、週末必要な時だけレンタカーで済ませましたが、子供2人のカーシートを付けたり、外したりを借りるたびにしたので、自家用車あれば楽だなとは何度も思いました。買おうと検討はしましたが、付近のAvisで1日51ドルでレンタカー借りれたこともあり、何とかそれでやってきました。
本帰国しましたが、まだ少し発信できる情報はあるので、新記事の頻度は減ってますが、月3-5記事くらいはアップしているので、また来てもらえると嬉しいです。